タオルではなく手ぬぐいが好きです。
かつては年賀や商店の販促品として大量に配布されていたのですが,
今ではタオルにとって代わられて, 日常生活で見かける機会は少なくなってしまいました。
どちらも一枚の布ですが, 手ぬぐいの定義はこうです
(個人的なものですが歴史的にも妥当なものと思います)
・ 平織
・ 木綿
・ 小幅織物(巾は約32cm~40cmくらい)
・ 上下の両端が切りっぱなし
要は, 木綿の反物を適当な長さに切っただけ(^^;,
長さはおおむね80cm~140cmくらいでしょうか。
一般的には90cmのものが多いようです。
日本舞踊などで使われる120cmくらいのものは長尺と呼ばれます。
剣道でも手ぬぐいを面の下に装着(頭に巻く)して使いますが,
これもやや長めのものが使われるようです。
さらに長くなって150cmから160cmのものを昔(江戸?)は湯手と呼んで,
今で言うバスタオルとして使われていたようです。
さすがに現在ではこの長さの手ぬぐいが売られているのは見かけません。
そこで木綿の浴衣地などの小幅反物(11m前後)を160cmくらいに切って自作しています。
未使用の浴衣地の反物はヤフオクなどで安価に出品されているので,
質の良い手ぬぐいが安価に作れます。
いきおいで200cmのものも作ったけれど, さすがにこれは手ぬぐいとは言いがたく(^^;
マフラー代わりにしています。
手ぬぐいの模様や柄は染めで作るのが普通ですが,
安価なものは顔料を使ってプリントで作られています。
絵柄が裏に抜けていなくて白っぽくなっているものがプリントものです。
顔料を使うと吸水性が落ちるし, ちょっと感触が堅めになります。
そして, 何より裏が白いのはダサいので避けたいところですが,
手元にある手ぬぐいでも増殖気味です。
もうひとつ, 上下が切りっぱなしであることもポイントです。
使い始めのころにほつれてくるのを嫌う, 場合によっては不良品扱いする人までいるためか
最近の手ぬぐいでは上下の端を折り返して縫っていたり,
特別なかがり処理がしてある手ぬぐいを見かけますが,
その部分で肌にゴロゴロとあたって感触が悪いので,
そのような手ぬぐいは自分でその部分を切り取って使っています。
使い始めはほつれて糸が出てきますが, 都度糸を切っていればそのうちに自然とフリンジのようになって
ほつれなくなります。
切りっぱなしにしてあることで干したときに乾くまでの時間が短くなります。
切りっぱなしであることも重要ですが,
小幅織物であることはさらに重要です。
以前は100均でも手ぬぐいを売っていたのですが,
最近はとんと見かけません。
手ぬぐい風タオルと称するものは良く見かけます。
タオルといってもパイル地の布というわけではなく,
平織りの布です。手ぬぐいと異なるのは, 上下の端はもちろんのこと左右の端も折り返して縫ってあることです。
要するに手ぬぐいサイズの木綿のハンカチです。
小幅反物の両横は縫ってあるのでも切りっぱなしになっているのでもありません。
緯糸(よこいと)がそこで折り返されています。
この端の部分の経糸(たていと)は少し太いものを使っているのか, あるいは何か別の工夫があるのか,
生地の部分とちょっと変わっているように見えます。
このように織るにはシャトル織機が必要なのですが,
もうシャトル織機自体が生産されていないようです。
緯糸を通すには杼(シャトル)と呼ばれる部品に緯糸をつなげて経糸の間を左右に移動させます。
反対の端に勢いよく飛ばしてそれにつながっている緯糸を通すので大きな音がします。
これを往復で連続させて織っていきます。
巾が広くなるほど強い力で飛ばさす必要があるので, 60cmくらいが限界のようです。
より静かにより速く, より遠くまで緯糸を通すために最近では風圧や水流で緯糸を通すのだとか。
しかし緯糸を往復させることはできませんから左右の端も上下と同様に切りっぱなし,
フリンジ状態になります。
手ぬぐい以外の用途ならば裁断して縫ってしまうので何の欠点にもなりませんが,
手ぬぐいには使えません。
手ぬぐいに縫い目は存在しないのです。
手ぬぐいは使い込めば柔らかくなって肌触りもよくなり, 趣がでるのですが……
大量にある手ぬぐいはコレクションにせず順番に使っています。
100枚を優に超えるので毎日4枚を使って洗濯に回しても,
特定の一枚の手ぬぐいを使う頻度は月に一回程度です。
う~む……これではどれも趣が出る前に小生の寿命が尽きてしまいそうです。
人生500年計画を再始動させないといけないかもしれません。