私見偏見独白

No.001-15 反共

山上容疑者が事件を起こした直後は, 民主主義への挑戦であるとか政治テロであるとかの論評であふれ,
統一協会の名前はマスコミでは報道されませんでした。
選挙が与党の圧勝で終わってから山上容疑者の犯行動機が大きく報じられるようになり,
統一協会の名前も表に出てきました。

統一協会の問題が取り上げられるようになると, 政治テロという主張に変わって出てきたのが,
「アベガー」の責任だという主張です。
「アベガー」というのは, 安部元首相を批判する人々を揶揄し中傷する言葉です。
つまり, 安倍元首相をマスコミやリベラルな人々が批判するので,
統一協会と安部首相が深い関係があると山上容疑者が”誤って”思い込み犯行に及んだという主張です。
しかし, 安部元首相と統一協会の深い関係は疑う余地はなく,
犯行が許されないことは当然ですが, 襲撃対象として安倍元首相を選んだのは
逆恨みや思い込みではなかったと言えます。

「アベガー」の責任という主張は自民党と統一協会の擁護にしかなっていないのですが,
昨日, アベガー責任論よりもさらにむちゃくちゃな主張をみました。
そこそこ有名な報道機関の記事ですが, 統一協会問題の責任は共産党にあるというトンデモ理論です。
どういうことかと言うと, 統一協会を日本に導き入れたのは岸信介(安倍元首相の祖父)で,
それ以来, 安部一族に守られて勢力を伸ばし, 30年前には霊感商法などで悪名を高め,
警察などが取り締まりを始まるかというところまで行ったのですが,
取り締まりも規制も行われず, 公安の監視対象からも外され,
さらには報道も全くされなくなったという経緯です。
共産党の機関誌である赤旗では継続的に報道され,
一部のジャーナリストや被害者に関わる弁護士なども警鐘をならしてきたのですが,
与党はもちろんマスコミも, そして国民の多くも共産党の主張には耳を貸さずにきました。
30年にわたる安部首相の加護の元で統一協会は自民党と深い関係を築き,
山上容疑者の事件をきっかけに, その一端が表面化し, 現在問題となっているわけです。

さて, このどこに共産党の責任があるのでしょうか。
岸信介が共産主義に対抗するために統一協会を日本に導いたのがそもそもの始まりですが,
共産主義という思想, そしてそれを理想とする日本共産党が存在していなければ
岸信介が韓国のカルト宗教などと手を組むことはなかっただろう。
日本共産党なんて政党が日本にあったのが悪い。
すなわち統一協会問題は共産党の責任だという主張です。
もう, なんというかまともに反論する気すら出てこないトンデモな主張です。

英国の皮肉家サミュエル・ジョンソンは

「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑」

と言いました。まだ共産主義思想がなかった時代です。
もう100年ほど生きていたら次の言葉も残したかもしれません。

「反共は悪党の最後の隠れ蓑」