世界平和統一家庭連動(旧統一協会)やその関連(ダミー)団体と自民党との関連が世間を賑わせています。
自民党の政治家や日頃威勢のいい保守系の文化人たちは当初は沈黙を決め込んでいましたが,
次第に開き直りや自民党擁護を始めました。
世界平和統一家庭連動(旧統一協会)やその関連(ダミー)団体,
……ええと, 面倒くさいので以後「統一協会」と呼ぶことにしましょう。
その統一協会を直接擁護する保守系文化人はさすがにいないようですが
(なにしろこれまでさんざん嫌韓ヘイトを大声で主張してきたのですから, さすがに擁護はできないのでしょう)
関係を持っている自民党の議員に関しては,
憲法に規定されている信仰の自由を持ち出して,
統一協会の行事を後援したり参加したり, あるいは選挙の支援を受けたりすることは何の問題もないと,
開き直っています。
ネットの世論ではカルト宗教, さらには新興宗教全体を規制する立法を求める声が大きくなっています。
例として, フランスの反セクト法があげられていますが,
キリスト教が事実上の国教となっている国なので出来ることです。
(キリスト教以外は皆カルト……)
我らが日本ではカルトを法律的に定義するのは困難でしょう。
霊感商法などは経済活動と見なして取り締まれるでしょう。
(実際90年代後半では裁判で有罪判決が出ています)
しかし, ここ10年ほどは裁判どころか捜査や検挙すらされていません。
「政治の圧力」があったと報道されています。
それに, 仮に政治の圧力がなかったとしても,
国会議員個人への支援や関係を法律で取り締まるのは,
統一協会を宗教団体として扱うかぎり難しいと思います。
統一協会とその関連団体を反社会的勢力と認定して暴力団などと同じ扱いで規制をすることは可能だと思います。
実際, 反社会的団体であることは過去の霊感商法などの裁判で認定されていたのですから。
しかし, あぁ, なんということか, 桜を見る会の問題を追及されたときに,
それまでの警察による反社会的勢力の定義を覆し,
「反社を定義するのは困難」と閣議決定されていました。
今日の事態を見越してのことだとすれば, なんという先見の明(?)でしょう。
ここで思い出すことがあります。
合州国でのことですが, 1960年に「衝突する宇宙」という本が出版されました。
似非科学というかとんでも本です。
まぁSFや空想科学本, あるいは仮想理論を楽しむ本として出版されたのであれば問題ないのですが,
まっとうな科学の学説として出版されたのです。
さらにその本を出版したのは大学の教科書や専門書を多く出版している信用ある大出版社でした。
似非科学が蔓延することは社会的に大きな害をもたらします。
そこでその出版社から教科書や専門書を出している科学者の多くが抗議して,
似非科学本を出すならば今後の執筆を拒否するという態度に出たのです。
その似非科学本を禁書にしろという主張ではありません。
まっとうな科学の専門書を出しているその出版社が似非科学の本を出すことに抗議したのです。
これに対して言論の自由への侵害ではないかという批判が出たことに関して,
化学者であり著名なSF作家であったアイザック・アシモフは
言論の自由の問題ではない。これはモラルの問題である。
と答えています。
ここでの「モラル」という言葉を訳すとしたら「良識」と言えば良いでしょう。
アシモフは宗教に対する深い知識を有していましたが,
合州国では希有な, 無宗教無神論者であることを公言していた人物です。
そう, 政治家は統一協会という反社会的勢力といかなる関係も持つべきではないということは
法律の問題でも, 信仰の自由の問題でも, ましてや政治的信念の問題ではありません。
アシモフが言ったように, 良識の問題なのです。
良識は法律で強制することはできません。
議員個人には良識を持たない自由もあるのです。
(そんな議員は人としてクズだとおもいますが)
できることは選挙権の行使だけです。
そのような良識のない議員を選挙で選ばないこと。
そのような議員を排除しない良識のない政党やその候補を選挙で選ばないこと。
そう, 選挙権の行使だけが唯一出来ることだったのですが……
民主主義への回帰不能点を超えてしまっている今となっては……。