熱中症の患者も増加していて, 政府は運動中はマスクをはずすことを推奨しています。
いや, そんなに暑くて熱中症が危惧されるのならばそもそも運動をさせなければいいんじゃね,
などと思ってしまうのですがどうでしょう。
それは現実的ではないというかもしれませんが, 雷の場合を考えれば非現実的とは思えません。
しばらく前の運動部の試合中の落雷事故がきっかけで,
雷時の対応の指針が文科省から示されました。
雷鳴が聞こえたら直ちに屋内などの安全な場所に待避するというものです。
退職前の職場でも, 「雷が鳴っているのですぐに屋内に入ってください」というような放送があったことを憶えています。
ところで. 熱中症の増加に対応して環境省がWGBT(暑さの指標)というものを公表しています。
これは気温の他に湿度や輻射熱などを考慮して決められる危険度の指標です。
WGBTが31以上になった場合は危険として運動は直ちに中止することとされています。
しかし, 雷と違ってWGBTで甲子園予選が中止になったとか, 試合が中断したとかは寡聞にして聞きません。
雷の場合の対応と同じようにWGBTに基づいて体育や部活動も中止すべきかなと思います。
熱中症での死者や重傷者のほうが落雷によるものより多いように思えます。
雷への対応はできるのに, 熱中症への対応ができないのはなぜでしょう。
この場合の対応とは, 「注意する」とか「気をつける」とかのレベルではなく,
運動自体をやめるという対応です。
私見ですが, 落雷は根性と心構えでは防げないということは理解できても
熱中症は水分などを適切に補給していれば防げるという
根拠のない精神主義・根性主義が今もなお体育指導者の心の中にあるからだと思います。
熱中症はかつて日射病と呼ばれていました。
くもっていても, あるいは日陰や屋内でもなることからいつしか熱射病と言い換えられました。
そしてさらに, 気温がそれほどでなくても湿度などの状況によって発症することから
現在の熱中症という言葉になりました。
しかしいくら言葉を換えて注意を喚起しても.
熱中症などは気力と根性, そして鍛えた体力ではねかえせるという考えが体育指導者のなかに根強残っているのでしょう。
ことしも大勢の熱中症患者が発生しそうです……