私見偏見独白

No.001-02 偏見

すこし前のことですが, 犯罪者ばかり目立つどこぞの政党の議員が
「三角関数よりも金融を学ぶべき」
と発言し, あちこちで批判や炎上がおこりました。

三角関数は学ぶ必要がないといっている訳ではないと弁解や,
三角関数は文明の基礎で役に立っていると言う主張など
さまざまな議論がネット上で見られましたが,
この発言の最も着目すべき点は, なぜ「三角関数」なのかということです。

以前には鹿児島県の知事が,
「高校教育で女子に三角関数を教えてなんになるのか」
などと発言し問題になったことがありました。
女性差別という批判でしたが, ここでも問題はなぜ「三角関数」なのかということです。
それよりもさらに前には曽野綾子という人権や福祉を憎む作家が
「二次方程式などは社会へ出て何の役にも立たないので、このようなものは追放すべきだ」
などとのべ, その夫の三浦朱門, 当時の教育課程審議会会長が同様のことを述べて
中学の課程から二次方程式の解の公式が削除されたこともありました。

ここでも「実生活で何の役に立つのか」という価値観で判断することが問題視されたわけです。
たしかにその価値観を教育の基本とすることは問題があり, 批判されたのは当然のことと思います。
しかし, ここでも問題は, なぜ「二次方程式」なのかということです。

残念なことに, 社会では実学重視. 役に立たないことを軽視する考えが根強く存在しています。
だからここにあげたような発言が出てくるのです。
けれども, ここには実学重視とうことのほかに, もうひとつ,
なんというかうまい言葉が思いつかないので偏見と表現しますが, そう, 偏見があります。

その分野のプロになる場合は別にして, 高校までの授業で学ぶことで実生活に役に立つものはほとんどありません。
しかし, 世の人は「三角関数は必要ない」とか「二次方程式は役に立ったことがない」とかは言いますが
「源氏物語など不必要」
「枕草子なんて教えなくてもいい」
「俳句や短歌なんて役に立たない」
とは言わないのです。
そう, 理系の学問, そのなかでも数学が「実生活で役に立たないもの」の代表として常にあげられるのです。
数学が如何に役に立っているか, 科学の基礎として如何に重要か, 数学なしでは今の生活は考えられないと
いくら説明しても何の効果もないのです。
この偏見はどうしたらなくすことが出来るのでしょう……