私見偏見独白

No.000-97 SNS

秀岳館高校の問題が世間を賑わせています。
その内容についてはTV, 新聞, ネットで山ほど報道されているので,
あらためて触れる必要はないでしょう。

ところで報道によれば今回の事件を受けて, 在校生に対してSNSに関する警察の講習が行われるようです。
これはとても興味深い。ぜひどのような内容の話になるのか取材してもらいたいものです。

この類の講習では本人の了解なく他人の動画をSNSにアップしてはいけないという内容で,
SNSの危険性を周知させる内容となるのが普通ですが, さて今回はどうするのでしょう。
サッカー部の生徒が動画をアップしたことに全く触れずに済ますのか,
それとも今回のアップも良くないことだとしてまずは学校に報告相談するべきだったとでも言うのでしょうか。
あるいは内部告発であり公益性があることなので, 今回のアップは推奨されると説明するのでしょうか。
警察の担当者も悩むところでしょう。

SNSでは誹謗中傷や被害者をさらすいじめ動画などがたびたび問題になって,
ほとんどの学校では校内で撮影した動画や写真をネット上にアップをすることを禁止していると思いますが,
今回はSNSが正しく使われたケースだと思います。
このようなケースの告発者を守るためにこそネットの匿名性があります。
最近では誹謗中傷などの書き込みに対応するためにネットの匿名性を否定する意見が多く見られ,
匿名性を悪とする論調が強まっています。
日本では組織や権力者の悪を告発したり追求するものを村八分にしてたたく風潮が強くあります。
内部告発のような公益通報の窓口などがあっても, 告発者の秘密を守るどころかその身元が被告発者に報告されてしまうという
ことも当たり前のようにあるようです。
匿名で告発できるネット上の場所は守られるべきものだと思います。



付記:
LINEやtwitterなどの商業サイトでは匿名を実現できていないことは留意しなければなりません。
実名を書き込まなくてもIPアドレスや接続業者のログなどから本人は特定されます。
最近では誹謗中傷の書き込みに対して裁判で発信者名の開示請求が認められるケースも増えています。
害のない動画や写真, 内部告発の類以外はアップしないのが吉でしょう。

付記の付記:
内部告発のように真に匿名を確保したい場合には,
海外の匿名プロキシを複数経由して書き込む必要があります。
それを自動で行うブラウザもあります。