学校プールの水道出しっ放しがまたも話題になっています。
昔から同じくらいの頻度で起こっていたのではないかと想像しますが,
最近では担当教員にその水道代を請求するという事例が増えてきました。
普通に考えれば, 職務上のミスで被雇用者が雇用主に損害を与えた場合,
意図的な悪意やよほどの重過失がないかぎり, 降格や減給などの処分はあっても
損害を賠償させるなどということは民間であっても法律的にあり得ないことだと思います。
実際, 報道などで意見を求められた弁護士は知り得る限り同じ意見でさす。
ですからこれまでは注意や減給などの懲戒処分で済んでいて,
とりたててニュースなどにはならなかったのだと思います。
しかし, 近年になって担当教員や校長などの管理職に損害賠償請求をする自治体がでてきました。
そして昨年だったか裁判でそれが認められてしまったのです。
もしかしたら重過失が認定されたケースだったのかもしれません。
この裁判で認められた半額の弁済を一般的な基準にしたのか,
以後の事例では重過失かどうかの検討もなく半額を目安に賠償請求をするようになってしまいました。
今回報道されたケースでも, 担当の教員と管理職が請求されています。
ただ, 過失の内容にこれまでのケースと違った点がありました。
いままで報道されたケースは水を張る作業で水栓を閉め忘れたというものでしたが,
今回の教員は水を常に流してオーバーフローさせることで水質を維持すると確信していて,
行動していた点です。コロナ禍でプールの水質を維持するためだったと報じられています。
ネット上ではこの点を指摘して, 水質維持に効果があることを認めながら,
水道代のことに考えがいたらなかったのかと糾弾して賠償は当然だとの意見が多く見られます。
また, この点からさらに教員の常識のなさを糾弾する書き込みも多く見られます。
そんななかで, 興味深い書き込みがありました。
担当教員が水を常時ながしていたのはプールの水質管理として当然の行動だという書き込みです。
コロナのためなどではなくても, 長期にわたって水を張ったままにしていては藻の繁殖やらで,
大量の薬品を使っての定期的な清掃・水の入れ替えが必要となり,
そのためのコストが常時オーバーフローさせる水道代より多くなるのではと言う指摘です。
そこで民間あるいは公共のプールの水質管理はどうしているのかネットで検索してみました。
まさに指摘通り, いずれのケースでも水は常時オーバーフローさせて流していました。
ただ水道代の節約のためか, 排水を浄化して循環させて使用する設備を備えているのが普通です。
当然ですが, 教育のためには1円たりとも使いたくない与党の政策により,
学校のプールにはそのような設備はまず備えられていません。
今回の教員は常識知らずどころか, プール管理は水をオーバーフローさせるのが常識
という知識を持っていたのかもしれません。
水を循環させる設備がないことは知っていたとしても,
そのためにかかる水道代は必要不可欠な出費と認識していたのではないかと思います。
だからこそ他の教員が水栓を締めると, 知識のない教員がいて困ったものだなどと思いながら
水栓を再度開けていたのかなと想像してしまいます。
この点を管理職に確認すべきであったという指摘はありますが,
すくなくとも重過失や悪意があったとは到底言えないと思います。
まぁ, そもそも論で言えば, 授業で使用する時以外の日常の施設管理業務をを
教員にさせるということ自体がおかしいのですが……