私見偏見独白

No.000-81 与太話(10)

前回の防衛戦を1ラウンドKOで勝利したチャンピオンが,
次の防衛戦で挑戦者を5ラウンドKOで退けたとき, 新聞各紙が,

「チャンピオン惨敗」

などと報じたらどうなるでしょう?
フェイクニュースどころの非難ではすまないことでしょうね。

ところで, 年内に行われる総選挙の予測報道では自民党の大敗が予測されています。
コロナ禍への対応のまずさやオリンピックの強行,
そして何よりも国会や記者会見などで質問に全く答えようとしない首相の態度で支持率の低下が著しいことが原因です。
しかし, その不人気な首相の 突然の総裁選不出馬の宣言で, 次の選挙は新しい自民党総裁の下での選挙となります。
ひょっとしたら自民党のさらなる大勝などと言う悪夢の可能性もゼロではないという恐怖を感じます。
そんな地獄のような悪夢も考えられますが, まぁ選挙民が底なしの馬鹿でない限り(...心配だ...)
自民党は議席を減らすでしょう。(...心配だ...まさか底なしの馬鹿なんてことはないよね...)
そこで最初のたとえ話に戻るのです。

自民党は1955年の結党以来, 1993年の細川政権(日本新党を中心とする連立政権), 2009年の民主党政権という4年間を除き,
常に政権与党であり続けました。選挙で勝ち続けたのです。
政権を失った1993年の選挙でさえ, 第二党(社会党)の70議席の3倍を超える223議席を獲得しています。
圧倒的勝利です。たまたま共産党以外の野党がほぼまとまることで細川政権が誕生しただけでした。
内閣支持率や自民党への支持率がどんなに低くなっても選挙では自民党が勝ってきたのです。
1955年の結党以来, 自民党が選挙で負けたのは2009年の衆議院選挙のただ一回のみなのです。
しかし, その間の選挙の結果で何度「自民党の敗北」が報道されたことでしょう。
自民党が少し議席を減らしただけで「自民党敗北」とTVや新聞は報じるのです。
そう, 常に1ラウンドKO勝ちのチャンピオンが, たまに5ラウンドKOで勝つと「チャンピオン惨敗」と報じるインチキ新聞のように。
自民党を「敗北」させたことに選挙民は満足します。
これを表すのが「自民党にお灸を据えた」などという表現です。
これがどんな悪政を続けても自民党が選挙に勝ち続けた理由のひとつだと思います。
マスコミの罪は重いと言えます。
それがここ半世紀の日本でした。