医療従事者に続いて高齢者を対象にした新型コロナ用のワクチンの接種が始まっています。
そんななかで地方自治体の(高齢者でも医療従事者でもない)首長がワクチンの余った分を
(こっそり)自分自身や関係者に接種していたという報道がありました。
最初の報道がなされると, 全国のあちこちで同様な事例が起こっていることが報道されました。
報道された首長たちは,
ワクチン接種の責任者なので医療従事者と見なせるとか
貴重なワクチンを廃棄するくらいなら接種した方が良い
などと言い訳をしています。
前者はさすがにへりくつですが, 後者については理解を示す人が多いようで,
河野ワクチン担当大臣も廃棄して無駄になるよりも良い旨の発言をしています。
余った分を誰に接種するのかという点に問題はあるものの,
河野発言以降は,「廃棄されるより良い」という意見が多数派になっているように思われます。
この話を聞いて, コロナ禍が始まる前に報道されたニュースを思い出しました。
給食を実施している学校で, 手つかずで残されたパン(欠席者の分や食べ残し)
を調理職員が持ち帰って自宅で食べているとか,
親のネグレクトなどで家で十分な食事がとれていない児童に分け与えている教師がいるというニュースです。
いずれもニュースとして発覚した教員や調理職員は懲戒処分のうえ該当金額の弁済をさせられていました。
何を弁済させられたのでしょう。食べ残しはゴミとして処理費用をかけて廃棄されます。
教職員が持ち帰ったり児童に与えることで処置費用が節約されていたはずです。
誰にも損害を与えていません。それどころか学校の財政の利益になっています。
廃棄すべしという規則に反していたのかもしれませんが,
それは今回のワクチンと同じです。
しかし, 規則通りに余ったワクチンを廃棄することに対しては,
融通が利かない, お役所仕事などと非難される勢いです。
それならば給食の食べ残し食材についても,
文科大臣が「廃棄されるよりも良い」と言うべきだったのではないでしょうか。
どうもこれは日本人の文化というか国民性なのかもしれません。
自分に損失がなくても, それどころか多少の利益があっても,
それ以上に他人が利益を得ることが許容できないという「嫉み」そして「他者の脚を引っ張る」国民性です。
このことについて以前(000-40 他人の不幸は蜜の味・・・ )でも書きました。
この国民性がさらに救いのない点は, その対象が主に弱者に限られるという点です。
いわゆる「上級国民」である与党政治家が同じような, あるいはもっと大々的な不正を行っても,
「政治家の甲斐性」.「さすがは大物」,「頼りがいがある」,「清濁あわせのむ」
として過半数の国民が許容してしまっていることです。
えっ, 認めてなんかいないですか?
あなたは立派な少数派です。
「上級国民」からみれば「反日」,「非国民」,「左翼」,「中国の手先」です。
そう遠くない将来には「テロリスト」にレベルアップするかもしれません。
あなたと違って多くの日本人は許容しています。
だからこそ自民党の政権が続いています。