合州国の大統領選挙の報道にかき消されて,
日本のマスコミではあまり報道されていませんが,
カリフォルニア州で同時に実施されたプロポジション22という
住民投票が賛成多数で可決されています。
労働者一人一人を個人事業主と見なし,
従業員として雇用する必要はないことを認めるという提案です。
Uber社のようなビジネスモデルを可能とする考えですね。
10月に裁判で, Uber社は登録されているドライバーを従業員として雇用すべしと言う判決が出されていたのですが,
この住民投票が実施直前だったために結果待ちになっていたのです。
プロポジション22が可決された結果,
判決の根拠となっていた法律(あるいはその解釈)に変更が生じて,
判決自体が無効となってしまうのではと思います。
労働者の権利を著しく損なうビジネスモデルですが,
残念ながら認められてしまいました。
可決となった大きな原動力は,
当事者である労働者の多くが賛成に票を投じたからです。
失業率が高く, 仕事が得られない移民や低所得層にとって,
目前の収入につながる仕事だったのです。
そういった人々にとって,
理想や人権よりも今日の暮らしが成り立つか否かが重要だったというわけです。
ずっと以前,
日本での高度成長が進み,
人々の暮らしが目に見えて良くなった時代に,
革新勢力も力を伸ばしました。
経済中心で大企業優遇の保守(自民党)と,
環境問題や人権に目を向けた革新(野党)との闘いです。
保守である自民党が政権が人権や公害問題にも一定の理解と譲歩を示し,
ある意味善政を行うことが,
革新の力を伸ばしたのです。
今日の糧に困る人々に,
環境問題や人権問題を訴えても無力です。
自民党の善政が革新勢力を生み出したと言えます。
それとは反対に,
自民党が大企業や富裕層だけに目を向け,
庶民からみて悪政を行うと,
自民党の支持が増えました。
「寄らば大樹の陰」
といったところなのでしょう。
皮肉なことですが,
当時の小生は
自民党が悪政をすればするほど支持者が増える
と思いました。
今, かつての自分の正しさを実感しています・・・
百姓共をば、死なぬように生きぬようにと合点いたし収納申し付くるよう
(落穂集:徳川家康)
現在,
世界の先進諸国の中で(庶民の立場では)日本の一人負けともいえる経済状況ですが,
他の国では見られない高い支持率を自民党政府は誇っています。
もちろん善政の結果ではありません。
貧困も格差も拡大し, 人権は後退し続けています。
野党は政府の腐敗や悪政を追及しますが,
まったく支持率のアップにつながりません。
自民党やそのブレーンの話に乗せられて開けてしまった新自由主義というパンドラの箱ですが,
神話で描かれていたように, 「希望」も入っていたのでしょうか・・・