新しい(中身は新しくない?)内閣の陣容が決まり,
新しいセールスポイントが必要になります。
以前にも書きましたが, 無能な首相は必ず教育改革を打ち出します。
安倍政権では「教員免許更新制度」であり, 生徒数の減少に合わせての「学校の統廃合」であり,
初等教育における「英語の教科化」,「道徳の教科化」でした。
いずれも異論が出されましたが, 数の論理(暴力?)で押し切ったのです。
菅内閣はコロナ禍でその必要性の声が無視できなくなった少人数教育をセールスポイントに決めるようです。
はるか以前より野党や教員の多くは少人数教育の効果と必要性を主張していたのですが,
小泉内閣以降の新自由主義の政策により, 児童生徒数の減少にあわせて教員の数は減らされ続けました。
それどころかクラス数はもちろん, 学校自体の数も統廃合という形で大きく減少したのです。
小泉以前のインフラ(教員数や学校数)があれば少人数学級もそれほど無理なく実現できたのではないかと思います。
しかし, もうそれも不可能です。
安倍内閣の教員を敵視するような政策によって,
教員の働く環境がますます厳しくなり,
かつその事実が社会一般に知られるようになってしまいました。
教員志望者の減少, 教育学部への進学希望者の減少,
そしてとどめを刺す教員免許更新制度です。
各教育委員会は非正規教員の増加でなんとかしのいできましたが,
今や非正規教員すら補充が困難になりつつあります。
こんな状態で少人数学級を実現しようとしても簡単ではありません。
教員が足りません。
教員になろうとする人も足りません。
非正規の教員も足りません。
そもそも現役教員以外の人は免許が失効しています。
統廃合の結果, 教室がたりません。
かつて組合の強かった業種が次々と標的にされ, 無力化されてきました。
炭鉱労働者
国鉄
郵便局
教職員
公務員
炭鉱労働者は産業構造の変化で, 産業そのものが消滅し,
国鉄や郵政の労働者は民営化によって無力化されました。
教職員や公務員は数の削減と政府のネガティブキャンペーンで無力化されたのです。
かりに, 奇跡が起こって次の選挙で野党が, いやもう奇跡も奇跡,
ミラクルで共産党が単独で政権の座に着いたとしても,
JRの再国有化はできないでしょう。
共産党政権が100年くらい続けば可能かもしれませんね。
JR以外は, 市民の圧倒的支持があればなんとかなるかもしれません・・・
そんな夢物語でも起きない限り, 消滅したインフラ(人と物)を取り戻すのは難しいのです。
教育新聞などのインタビューから判断するに,
教育予算を大幅に増やす, 正規教員の数を増やすということは全く考えていないようです。
では新政権はどうやって少人数学級を実現しようとするのでしょうか。
小生の妄想であれば良いのですが,
これを実現するために推進されるのは教育の民営化かもしれません。
私立学校という話ではありません。公立の小中学校の民営化です。
つまり, 不足する教員は今のような非正規教員ではなく派遣でまかなうようにするのです。
そうなれば正規の教員すら派遣に置き換わっていくかもしれません。
民間企業がたどった道です。
派遣教員は, 現在でもすでに一部の私学で存在するようです。
また役所などでは窓口などの一般事務で公務員資格のない派遣社員が働いているのは普通の風景になっています。
教員がそうなっても不思議ではありません。
(良いこととは思えませんが・・・)
教室の不足は?
これについては, 耐震校舎への建て替えや改修の流れもあり,
さらに箱物は大手ゼネコンに仕事が回るので,
それに便乗して教室増の予算が意外にあっさりと付くかもしれません。
そうでない場合は形だけ少人数になれば良いとばかりに,
現在の教室を2つに区切って使うなんてことをするかもしれませんし,
ベネッセなどの教育産業や少子化で苦しくなっている大手学習塾のインフラが使われるかもしれません。
これが小生の妄想であることを願うばかりです。
いずれにせよ, 500ml の容器にはどんな工夫と精神力をもってしても 1000ml の水は入らないのです。
教育予算と教員の増員は次の選挙での奇跡を期待するしかないのですが・・・しかし・・・