私見偏見独白

No.000-34 履歴書

コクヨが性別欄のない履歴書用紙を発売すると報じられています。
様式は法的に定められているのではありませんから, 用紙を自分でコンピュータなどで作ってしまえばどうとでもなる気がしますが, 市販品として存在することは自分勝手ではなく社会的に認められていると思えるので 意味は大きいと思います。

これはもちろん男女差別の解消という観点からの判断です。
就職試験に必要な項目として性別が必須な職業はそうそうありません。
助産師の資格は男性はとれません。
産婦の感情の問題があるのかもしれませんが, 男性の産科医は一応受け入れられているのですから, 医師と比べた助産師に対する蔑視(軽視くらいか?)があるのかもしれません。 保育士は男女の区別はないのですが, ときどきニュースで話題になるくらい男性の保育士はいばらの道のようです。 (がんばれ五代君!)
男性の歯科助手に至っては話題にすらなりません。 見たことがないです。

さて, これを報じたニュースに添えられて, 他にも就職面接などで法的に不適切と見なされる質問例が載っていました。
好きな本や作家, 尊敬する人物などの質問も, 思想や思考の傾向を問うていると見なされるので不適切とのこと。 またクラブ活動やスポーツなどの記録も不適切と考えられるとのこと。
基本は, 応募者の生まれや育ち, 思想的傾向や好みなど 個人のプライバシーに属する部分で仕事と関係が薄いと想われる事項はすべて不適切ということのようです。 とはいえ, 採用する側からすれば, 人材の採用は重要な問題なので, そこまで割り切れないのでしょう。 性別にしても入社後のトイレの使用の問題も発生する訳で, 法律で禁止しても人間の差別感情や嫌悪感が自動的になくなる訳ではありません。
理性と感情の折り合いは難しい問題です。

ところで入試の調査書はどうなのでしょうか。
入試ですから, 個人の成績の記録の記載は問題ないでしょう。
いや, 問題ないか?
入学後の学習に耐えられるか否かは入学試験ではかるべきで, 過去の記録を問うのは人間の成長を軽視する不適切な考えだと言えなくもありません。
あくまでも入学試験時の学力を問うべきであるという観点もありそうです。

出席状況も問題です。
文科省によって履修に必要な出席すべき日数や出席すべき授業数は決められていて, それを上回っていなければ問題ないはずです。
しかし, 出席状況は"非常に"重視されているのが現実です。
大学入試でどれだけ重要視されているかは不明ですが, すくなくとも勤務していた高校では, 年に10回以上休む生徒は問題児あつかいで, 推薦などの際に大きな不利益になっていました。 これは問題ないのでしょうか?
休みの多い生徒は素行の問題がありそうという経験則があるのは事実ですが, 人権の問題を経験則で判断するのは良いとは思えません。

部活動はどうでしょうか。部活動はあくまでも任意で行われているもので, 学習すべき内容ではありません。
部活動に熱心な生徒は学校生活に積極的に取り組んでいるという評価がありますが, 家庭の経済的状況などで取り組めない生徒もいます。 その活動歴を条件とした推薦入試などは別にして, 一般の入試で調査書に部活動などの記載をすることに疑問を感じていました。

極論すれば, 調査書の存在自体が 問題といえなくもありませんね。