私見偏見独白

No.000-22 教育界の怪しい巨人

コロナ禍で感染者数や「GO TO トラブルトラベル」 キャンペーンに日本中がとらわれている最中の7月9日,
文科省からひとつの発表がありました。
e-portfolio の運営を依頼している社団法人の運営許可を取り消す方向で調整に入ったとのこと。
システムの運営団体を変更するということではなく, e-portfolio の採用をやめることになりそうです。

大学入試改革のひとつとして鳴り物入りで始められたシステムですが, BenesseのIDを取得しないと利用できません。
いくら無料とはいえ一企業の利用が前提のシステムであることから, 利用を保留する大学が多く, 一部には早々に不採用を明言する大学まで登場していました。

Benesse のIDは同社の classi というシステムの利用と密接に結びつき, 全国の多くの高校が classi の利用を始めました。 進研模試などで受験産業界の巨人となっていた Benesse ですが, その地位を不動のものとしたのです。

受験産業というと, 小生の世代では, 模擬試験や参考書, 受験情報誌などで旺文社と学研(学習研究社)が2大巨頭でした。
Benesse の前身であった福武書店は小生の印象では幼児教育や初等教育の会社でした。 進研ゼミも中学受験のイメージです。

その福武書店は, Benesse と名前を変え, 政権とのパイプを太くして いつのまにか受験産業界のリーダーとなっていました。
なんとなく電通(メディア界の怪しい巨人)を思いださせます。

無能な首相はいつも教育問題に取り組むというのが小生の持論です。
教育問題は常に関心の大きな問題で, 改革すべき点が多く常に指摘されています。
そして何より, 改革の結果はすぐに出ませんから首相の在任中に失敗があらわになることがめったにありません。
無能な首相が「実績」を示すのに都合が良いのです。
そして, いわゆる「愛国心」や「道徳」, 「自己責任論」など自身の価値観を教育に注ぎ込むのにも最適だからです。

コロナによる長期の休校に加えて, 入試改革の混乱に巻き込まれ, 今年度の高校3年生は気の毒としかいえません。
その対応に追われる教員も大変です。
体や精神を壊さないように願います。


頑張りすぎないために

・挨拶はきちんと
なるべく諦めない
・よく寝て, よく食べる
・悩んだら相談!
・なせば大抵なんとかなる
(讃州中学校勇者部五箇条より)



勇者部五箇条は, 今年六箇条に改訂されたようです。
追加された六箇条目は

・無理せず自分も幸せであること

です。

今回のタイトルは, J.P.ホーガンのSF小説

「ガニメデの優しい巨人」

からとりました。素晴らしい作品です。ぜひご一読を。