初めて FAX というものの存在を知ったとき, なんて便利なものがあるんだろうかと思いました。
当時, 日本ではまだ個人の家庭には普及していませんでしたが,
合州国では日本製の家庭用ファクシミリの端末が普及していました。
日本に先だって安価な家庭用ファクシミリの端末が売られていたのです。
たしかタムラ製作所という日本の会社の製品だったかと思います。
その時思ったのは, どうして海外で売っている安価な家庭用端末を日本国内で売ってくれないのだろうかということです。
外国製品の輸入ならば海外より価格が高くなってしまうのは仕方がないでしょうが,
日本の会社が日本で作っている製品です。不思議でなりませんでした。
そのころは, 小生もナイーブで, 国内で高く売り利益を確保し,
海外ではダンピングして市場の占有をはかるという企業戦略があるとか,
あるいはまた,
様々な利権の絡んだ役所の規制などで国内では販売できない場合があるなどとは思いもしませんでした。
次に同じようなことを思ったのは, CASIO の電卓です。
CASIO の製品で Classpad という数学用電卓が海外で売られていました。
日本国内ではグラフ電卓としてFXシリーズが売られていましたが,
それよりもずっと先進的で, タブレットPCを思わせるコンセプトのものでした。
ヨーロッパではかなり使われていたようで, ネット上に多くの活用事例とプログラムが公開されていました。
小生も購入したいと思ったのですが, 国内では販売されていません。
それどころかCASIOの国内サイトの製品一覧にすらこの電卓を見かけませんでした。
ドイツや英国のamazonから直接買おうと思っても, 日本へは発送不可になっていたと思います。
とうとう, CASIO の顧客センターに直接電話をして, 高等学校の数学教師であることを伝え,
マニュアルなどもふくめて英語版のままで良いので売ってくれないか問い合わせて見ましたが良い返事は聞けませんでした。
そして, 時はうつり, 今回のコロナ禍です。千葉のメーカーが全自動のPCR検査機を開発販売しています。
検査の結果がでるまでに要する時間は5時間ほどだったかと思います。海外の先進諸国では大活躍で,
迅速かつ広範な検査に利用されています。医療用機械としてはそれほど高価なものではなかったと思います。
その日本製の機械が国内では利用されていません。相変わらず, 手間暇のかかる従来の方法で検査されています。
いや, 検査されていないといったほうが良いでしょうか。一月くらい前から国内でも検査数は増えていますが,
海外とは桁がひとつも二つも違います。ヨーロッパや中国, 合州国では一日の検査数が数万から数十万です。
日本の政治家や感染症対策に関わっている人は, 検査をしたら死んでしまう病気にでも感染しているのでしょうか。
重大な伝染病の対策は, とにかく検査をして無症状の感染者を発見し, 隔離して伝染を防ぐというのが基本です。
日本でもコロナ以前では, いや, コロナ以外ではこれが常識です。
コロナに関してだけ, 何かが狂っています。東京オリンピックの存在, そして我らが安部首相の思惑のせいでしょうか・・・
海外で, 人々を豊かにしたり便利にしたり, あるいはまた命を救ったりしている日本の製品や知恵が,
日本人のために使われないという事例を見ると残念としか言いようがありません。
「どうしてこうなった?」
(帝国軍第二〇三航空魔導大隊長 ターニャ・フォン・デグレチャフ)